考えごとノート。

日本が多様性に寛容な社会になるために、世界一多様な都市トロントに留学している教育者の卵です。Teacher candidate/ DIversity education/ Canada / Study abroad

イスラムフォービアを目の当たりにして

昨日の昼間いつものようにFaceboomを開くと驚くようなニュースが目に飛び込んできた。そのニュースの全容がこちら。


www.cbc.ca

ムスリムで小学6年生(11歳)の女の子が学校に向かう途中、何者かにハサミでヒジャブ(顔をおおう布。ムスリムの女性が使用する)を切られそうになるという事件。その犯人は一度逃げた後にもう一度彼女の元に戻ってきて2度目の犯行を試みたというのだから恐ろしい。

この事件の背景に隠されている考えは "Islamophobia"
2001年の9.11を皮切りにISIS等のテロ組織のイメージがついてしまったイスラム教徒の人たち。"Islamophobia"はイスラム教信者(ムスリム)に対する不安や嫌悪感、差別や偏見を意味する

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Definition of Islamophobia according to Merriam Webster

 

文化政策の元に人々の違いに寛容である国として知られるカナダだけど、それはヘイトクライムが全くないとか、差別や偏見が0である事を意味しているわけではない。
また、同じカナダでも場所によって人々の多様性に対する考え方も異なる。

カナダの東海岸側に位置するQuébecはかなり閉鎖的でフランス系以外の文化に狭量である事からカナダからの独立運動が叫ばれている。他のカナダの都市との違いとしては、2017年10月にはすべての公共施設(役所や交通機関等)で顔を隠すフェイスカバーを禁止する法案が可決された。

 

www.theguardian.com

The resulting law has been condemned by critics who say it deliberately targets Muslim women and will fuel the province’s simmering debate on identity, religion and tolerance.  

... Philippe Couillard, the premier of Quebec, was defensive as he addressed the new law. “We are just saying that for reasons linked to communication, identification and safety, public services should be given and received with an open face,” he told reporters. “We are in a free and democratic society. You speak to me, I should see your face, and you should see mine. It’s as simple as that.” (Kassam, A. 2017, Octover.) 

上記のように事実上のムスリム女性に対する差別とも捉えられる法案だけれども、Québecは16世紀〜17世紀にかけてフランス軍により開拓されて、根強いフランス文化の影響を受けている街。今でもその街の景観は中世のフランスのように美しく、その文化を守るためかかなり保守的な地域である事が特徴でもある。

とはいえ今回の事件が起こったのはカナダの中でもトップクラスの多様性、寛容性が強みであるトロント
この事件のインパクトは市民や他のカナディアン、そしてカナダに住むイスラムコミュニティのメンバーにとってかなり大きいものだと考えられる。

カナダに住む人たちはどのようにして文化的、また宗教的寛容さを学んできたのか、カナダで育った友達に聞いてみた。けど長くなりそうなのでそれは次の記事で。