考えごとノート。

日本が多様性に寛容な社会になるために、世界一多様な都市トロントに留学している教育者の卵です。Teacher candidate/ DIversity education/ Canada / Study abroad

中国語が分からなくても、話をすることを諦めないことはできる。

言葉が分からない人から道を聞かれたら、私はいつも「分かりません」と言っていた。
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私はカナダでは中国人だと思われることがたまにある。理由は不明。(笑)
やはりハーフってこういうことなんかな〜とも思いつつ、ただ単にカナダでの日本人の存在感が薄いだけかもしれない。

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いとこ達といる時、彼女たちは中国語で対応する。それを見るたびに隣で分からない中国語を聞きながら、「あ〜〜中国語話せたらなあ」と、何度も歯がゆく思ってきた。

ことばが分からないと、何も出来ないんだなあと。
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でも今日シンプルに、人を助けるのに必要なことはことばじゃないと、ハッとさせられたエピソードに直面。

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ダウンタウンに行く途中、70代ほどの中国人らしきおばあさんがバス停にいて、路線図を見ながらおろおろしていた。

バスに乗りたいんだけど、方向や、降りる駅を確かめたかったようだ。
暫くするとそのおばあさんは、通りかかった高校生らしき青年に「中国語で」道を聞き始めた。
ちなみにその青年はアジア人ではない。
やや肌は暗めで、南米系のバックグラウンドを持っていたと推測する。

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「いやいやいや、その子絶対中国語分からないでしょう…」「どう見たってアジア人じゃないし」「何でこの子に話しかけたんやろう」とさえ思ったけど、驚いたのはその青年の対応。

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その少年は全く分からない中国語で話しかけられても、おばあさんの行き先を、路線図を一緒に見てあげながら確認して、ここで待ってれば大丈夫だよと質問に答え始めたのだ。青年が"okay" "this way"と地図を指しながら示したらおばあさんにも伝わっていた。

何度も何度もおばあさんは中国語を話した。その度に全てを聞き入れて、方向や行き先までのバス停の数を確認して見せてあげていた。

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私がおばあさんに話しかけられていたとしたらいつも通り、ごめんなさい、私中国語分からないんです、でやり過ごしていただろう。

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この青年には中国語が分かるかどうかは問題ではなかった。「助けたい」「分かりたい」そして「伝えたい」気持ちで、おばあさんを助けていた。

話せなくても、人助けは出来る。

伝えたい気持ちが人を繋ぐ

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一方で、私も今まで何人もの人に道を尋ねられて来たはずなのに、誰1人にも向き合って来なかったことに気付かされた。

中国語が話せない事を言い訳にして、その人達に向き合っていなかったのだと痛感。

ことばに執着しすぎていたのだと思う。

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わたしは本当に美しい国に来たと思う。

多文化、多国籍、多様性が本当に上手く共存しているのだ。道端で、人種や言語を超えた助け合いの精神を垣間見る事ができ、この国のこころの豊かさを感じた。

まだまだ街のあちこちから、学べることが沢山ある。